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Microsoftが進める買収が承認された場合,SIEはPS6の情報をActivisionと共有できない。CEOのJim Ryan氏が述べる
Eurogamer:Sony says it wouldn't share PS6 details with Microsoft-owned Activision
Microsoftが687億ドル(約9兆8720億円)でActivision Blizzardを買収すると発表したのは2021年1月のこと(関連記事)。これほどの巨額買収の場合,独占禁止法に抵触しないかを関係機関が審査することになる。
2023年3月28日には,日本の公正取引委員会が「競争を実質的に制限することはない」と判断し(外部リンク),また5月16日には欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会が条件付きで買収を承認したが(外部リンク),一方,FTCは昨年(2022年)12月に買収の仮差し止め命令をカリフォルニア州北部地区連邦地裁に申請し,6月22日から第1回の口頭弁論が始まっている。
SIEはこれまで,競争を阻害するとして買収には反対の立場をとってきた。
Eurogamerの記事によれば,Ryan氏は「競合相手が所有する会社に機密情報を提供するリスクは冒せない」と述べたという。この発言は,SIEが4月に提出した今回の買収に対する見解について,Ryan氏に質問を行ったときに出たものだそうだ。SIEは,次世代PlayStationについての情報を提供できなくなることで,ゲーム開発に悪影響を与えることを懸念しているという。
通常,SIEは正式発表の1年ほど前に次世代機の情報を主要パブリッシャやデベロッパと共有し,これにより,「Call of Duty」のようなゲームをPlayStation 6のローンチタイトルとしてリリースすることが可能になる。買収が承認された場合,こうしたプロセスが阻害され,さらに,デベロッパが希望する新機能を事前に知ることも難しくなるという趣旨の発言を,Ryan氏が行ったという。
Microsoftは,今後10年間にわたって「Call of Duty」をXbox以外のハードにも提供すると発表しているが(関連記事),Ryan氏の発言は,今回の買収における,これまで議論されていなかった問題点を浮き彫りにした。次世代PlayStationの登場はまだ先のことになりそうだが,動向が注目される。
Access Accepted第756回:待ったがかかったマイクロソフトによるActivision Blizzard買収計画。巨額買収劇の行く末は果たして……
MicrosoftによるActivision Blizzardの買収計画に待ったがかかった。イギリスの公正取引委員会である競争・市場庁(CMA)が,クラウドゲーム市場における寡占化の懸念を理由に,買収を承認しないと4月26日に発表したためだ。今週はこの出来事の経緯と今後の展望をまとめていく。
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