G★ 2007のNexon新作発表会の場で,大陸中国および台湾のパブリッシャとNexon/Valveが,それぞれの地域におけるサービス契約を結んでから8か月あまりが経った。大陸中国のパブリッシャである世紀天成(SPTT)は,今回のChinaJoyで初めて,中国の一般ゲーマーに向けて
「カウンターストライクオンライン」(中国語タイトルは「反恐精英」。つまりカウンターテロのエリートという意訳)を披露する運びとなった。
同社のブースにはほかの作品に混じって,「カウンターストライクオンライン」の試遊台が多数用意されていたのだが,それとは別に7月17日の2:00PMから(ただし実際には15〜20分ほど開始が遅れていた),同作品の「発表会」が開かれた。
発表会といっても,G★ 2007でNexonが説明した内容から,大きく付け加わったアナウンス項目はなかった。そこで流されたプロモーションムービーの内容は,中国で「Counter-Strikeがもはや一種の精神,一種の信仰」と呼び得るものであることが強調され,その後継に「カウンターストライクオンライン」を位置付けるという,お馴染みのもの。「王者帰来」というコピーが,その論点を締めくくっていた。
壇上に上った世紀天成サイドの司会はさらに,「みなさんに中国版カウンターストライクオンラインをお見せするのは,これが初めてのことになる」「オンラインFPSの代表として,必ずブームとなるはずだ」「ゲームに必要なのはそもそもコミュニティである」といった論点を補足し,クラン戦の支援やランキング機能といった「カウンターストライクオンライン」固有の価値を強調,続いてChinaJoy 2008の会期中に開催されるトーナメントについて説明した。
とまあ,ここまでなら現地パブリッシャによるPRとしてはポピュラーなものだろう。だが,こうした説明の合間合間に独特のパフォーマンスを挟んだのが面白いところだ。
その一つめは,ムービー画面と,舞台に上がったテロリスト役をシンクロさせた演技である。画面内でテロリストキャラクターがとる所作に合わせるかのごとく,壇上のテロリスト役がポーズをとる。このパフォーマンスの最後にはカウンターテロ部隊側が現れ,双方が銃撃戦を演じるという流れになる。M16を持ってプローンやしゃがみ撃ちといった,いかにも玄人っぽい射撃姿勢を演じるカウンターテロ部隊に対し,テロリスト側はAKを腰溜めで撃ち,反動を体で押さえ込むという,非正規部隊っぽさを強調した演技だった。
銃撃戦はカウンターテロ部隊の勝利に終わったと思しく,壇上にはカウンターテロ部隊の隊員だけが残って,その横にコンパニオンさんが付き,一緒にポーズをとる。それが一段落したあとにテロリスト役が代わって登場,同じくコンパニオンさんとポーズをとるが,こちらはより鷹揚というか,テロリストもコンパニオンさんも割とインモラリティを強調するかのように挑発的な姿勢をとる……。
BGMの節回しに合わせて,両部隊の役者さんもコンパニオンさんもビシッとポーズを決めていたあたりから,かなり気合いを入れて練習したことが窺われる。……なんというか,力の入れどころがパフォーマンスとフォトセッションにあるあたり,ある意味たいへんChinaJoyらしいお祭り騒ぎの仕立てだったといえよう。
そうしたわけで,サービススケジュールすらまだ明らかにされていない,「カウンターストライクオンライン」の中国サービスなのだが,少なくとも日本よりは早いタイミングと推測される。FPS,さらには旧来の「Counter-Strike」を長らく愛好してきた中国市場で,「カウンターストライクオンライン」がどのように受け取られていくか,日本でのサービス前に注視しておくのも面白いのではないだろうか。